【創作】作品を封印するとき【さまざまな不足】

2021年4月7日

 

小説を書いてはみたものの、人前に出せるクオリティに満たない場合があります。

判断するのが書き手自身であれば、残念ながらその作品を封印することになるでしょう。

この状況は、なにかが不足していることによって起こります。

不足の正体を明らかにすれば、書き手自身の筆力に還元できます。

一緒に考えていきましょう。

 

 

モチベーションの問題

最初に直面するであろう問題は、書き手のモチベーションです。

「文章を書く」という行為は、多大な労力を必要とします。

物語をていねいに編み、小説として成立させるとなれば、なおさら書き手には体力や持久力が求められます。

そのとき推進力となるのは、書き手自身のモチベーションです。

モチベーションが不足していれば、ひとつの作品を書ききることはできないでしょう。

 

同じ作品に対して長い期間、モチベーションを保つことは困難です。

アイディアやインスピレーションが泉のように湧いてくればいいのですが、実際にはなかなかうまくいかないはずです。

だからといって物語から目や手を放してしまえば、その間はいつまでたっても”作品”にはなりません。

どれだけ不恰好でも、最後まで書ききること。

まずはこれを目標として、モチベーションの不足が生じないようあらゆる手を尽くしましょう。

 

 

技術的な問題

最後まで書くことができない原因が、物語のなかで発生することもあります。

● 途中から物語の辻褄が合わなくなった

● 内容が散漫になり、収拾がつかなくなった

● 物語の構造的に、その後を展開できなくなった

 

上記のような状況は、平たくいえば技術不足が原因と考えます。

いわば筆力が足りていないわけですが、具体的には物語を編む「構成力」に問題があります。

たとえ細部の文章は巧く書けていても、全体を読み返してみると、なんだかちぐはぐな状態になっている。

「建てつけ」がしっかりとしていなければ、その上に積み重ねるものも不安定になってしまうのは当然です。

 

しかしこの場合は、技術的に解決できる可能性があります。

それが本当に構成の問題であれば、間違いなく解決します。

ただし、軌道を修正するにしても、余計な部分を削るにしても、大手術は避けられません。

どこかにあるはずのズレに勇気をもって手を加えることで、物語がスムーズに動きはじめるでしょう。

 

 

満足度の問題

もうひとつ無視できないのは、書き手自身が満足できなかったパターンです。

たとえ小説を書ききることに成功しても、書き手自身が出来栄えに納得していなければ、その作品は封印せざるを得ません。

とても残念ではありますが、仕方のないことです。

書き手自身が文責を全うできないのであれば、そのような作品を世に出すことのほうがよほど恐ろしいからです。

 

要因は人にとってさまざまですが、おそらく本来描きたかったことを表現できていないのだと考えます。

物語に盛り込むトピックの調査が不足しているのかもしれませんし、見解の掘り下げが足りないのかもしれません。

前項のように技術的な問題が発生しているのかもしれませんし、書き手のキャパシティーでは抱えきれないテーマを扱っていることもあり得るでしょう。

いずれにしても、そこに満足していない自分がいることは間違いありません。

不足感の正体を暴くためにも、自分自身としっかり向き合いましょう。

 

 

捨てる勇気とつなげる決意

ここまで、さまざまな「不足」について考えてきました。

作品と向き合っている間は、この不足を解決するために、あらゆる策を講じるでしょう。

書き手としてそのアプローチは大切ですし、体力が続く限り、必死にもがくべきです。

 

ただし、ときには作品ごと捨ててしまう勇気も必要です。

テーマやトピックの選定に問題があれば、その物語でマキシムな表現を実行することは構造的に難しいといえます。

それこそ書き手の筆力が不足していた場合、すぐに解決することはできません。

プロの作家であっても編集者からボツを食らうことも多々ありますから、ひとつの作品に固執しても仕方ありません。

どうしても物語が成立しないと判断したときは、思い切って次の作品に手をかけるのもアリです。

 

作品単位でみれば失敗したわけですが、書き手はそこから反省しなければなりません。

なにが不足していたのかを分析して、学びや教訓を得ることで、次回以降の改善を目指す。

せっかく書いた作品を捨てるのであれば、そのときは、次の作品につなげる決意をかためることを条件とすべきです。

封印した作品のためにも、執筆で経験する折々の判断を筆力に還元していきましょう。

 

 

創作

Posted by 赤鬼