【応用編】前置きの節や語句を区切るための読点

こちらの記事にある「前置きの節や語句を区切るための読点」について、より実用的な使い方をご紹介します。

はじめに、節や語句を区切ることだけがこの用法の役割ではありません。

これを応用すれば、文や句を引用して、本題のなかに挿入することもできるのです。

 

具体的な例を見ていきましょう。
例文

A. 「なんてすばらしい絵なんだ」と彼は言った。

B.  なんてすばらしい絵なんだ、と彼は言った。

 

 

AとBは同じ内容の文章ですが、表記の仕方が異なっていますね。

Aはかぎ括弧を使ってセリフを引用しているのに対し、Bは読点のみで同じ効果を得ているのです。

 

このように、前置きの節や語句を区切るための読点は、引用を示すことができます。

読点があるおかげで、かぎ括弧を使わずにセリフを文のなかに挿入できるのです。

 

もう少し踏み込んで、この読点の実用性をさらに高めましょう。

セリフだけでなく、修飾節を挿入する場合にも使います。

 

例文
その書物は、江戸時代に書かれた、とても貴重なものです。

 

「その書物はとても貴重なものです」のなかに、「江戸時代に書かれた」という句を挿入した例です。

 

青字の箇所は本題であり、いわば文章の骨組みです。

赤字の箇所、つまり挿入句は、内容に肉付けをする役割を担っています。

 

読点があることによって、これらを区別できました。

もちろん、全く無関係になったわけではありません。

適度に差別化できたからこそ、文に句を挿入することができたのです。

 

引用や挿入を示すとき、これまでは「」や()に頼っていたかもしれません。

この読点を使うことで、記号の表記に頼らずとも、文章を書くことができます。

つまり、表現のバリエーションが増えるのです。

今回ご紹介した用法を上手に使いながら、さまざまな表現にチャレンジしましょう。

 

 

Posted by 赤鬼