卑しい欲求を取り入れる
今回ご紹介するのは、小説をおもしろくする裏技といっても過言ではありません。
タイトルにあるとおり、作品の中に卑しい欲求を取り入れるのです。
卑しい欲求とは、表立って言えない、明るみに出しづらい、人前では公表できないような、低俗な願望のことです。
わかりやすいのは、お金ですね。
地位や名誉、ヒトやモノに対する執着も同様です。
あるいは、性的な欲求も含まれるでしょう。
小説は、このような卑しい欲求を最大限に表現できる基盤があります。
これを支える大きな要因として、「小説はすべてが自由である」といった性質が挙げられますね。
より詳しくいえば、小説は、他の媒体に比べて精神世界に深く入り込むことができる特性をもっています。
映画やテレビでは映し出せない矮小さも、小説であれば許容できるのです。
なぜ卑しい欲求が小説を面白くするかというと、共感を得やすいからです。
人間は誰でも、心の深い部分に「後ろ暗い何か」を抱えています。
これは他の媒体では表現しづらいことでもあるため、小説にこの卑しさを求めている読み手は少なくありません。
つまり、卑しい欲求を作品に組み込ものは、小説の特性を活かすと同時に、読み手の共感を得ることになるのです。
結果として、誰が書いたとしても、ある程度はおもしろくなってしまうのです。
ただし、油断は禁物です。
共感を得やすいということは、多くの人が心の中にあるものを描くということです。
いいかえれば、ありきたりな内容になってしまう可能性があるのです。
また、卑しい欲求は、大きな感動を生み出すことが不得意です。
主に人前で露呈できないことを描くわけですから、気分が高揚するような内容になりづらいのです。
このようなデメリットを考えると、「これを取り入れればおもしろくなる」と安易に捉えてはならないのです。
つまり、卑しい欲求は、あくまでひとつの要素として取り入れるべきなのです。
作品全体を調理していく上での、スパイスの役割でしかありません。
このスパイスを用いれば、作品に深みが増したり、読み手を惹き込むことができたり、ポジティブな効果が期待できるでしょう。
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