誤用を防ぐために
書き手が恐れるべきは、言葉の誤用です。
避けなければならないとわかっていても、常に辞書片手に執筆するわけにはいきません。
具体的な対策を講じるとなると、なかなか厄介なのです。
そこで今回は、日ごろから実践できる「誤用を防ぐための訓練」をご紹介します。
はじめに、結論を書いておきましょう。
言葉の誤用を防ぐために、日本語学習者の表現を参考にすることをおすすめします。
この時点では、あまりピンときていないかもしれません。
詳しく説明します。
たとえば、子どもです。
子どもが話す日本語は、間違いの宝庫です。
ある日、3歳児にこのようなことを言われました。
「これ、おさまえてて!」
ごっこ遊びをしている途中、オモチャを指しながら、私にお願いしてきたのです。
おそらく、「押さえて」と「つかまえて(つかんで)」が混同したのでしょう。
伝えようとしている内容は理解できましたが、日本語としては正しくありませんね。
もちろん、「おさまえて」を修正し、正しい言葉を教えるのは大人の役目です。
しかしながら、たとえ大人だからといって、この表現を馬鹿にできる立場にはありません。
間違って覚えてしまった言葉は、大人である私たちにもたくさんあります。
書き手であれば、間違いを見つけた機会に自分のことを振り返るべきなのです。
日本語学習者の表現というとことで、もう一例挙げておきましょう。
外国人との会話です。
日本で生活する外国人留学生、あるいは、海外在住の日本語学習者でも良いでしょう。
言語として日本語を学んでいる人の表現には、時々、独特な間違いが起こります。
以前、インドネシアの友人からメッセージをもらいました。
「わたしは、あなたがこれをおくります」
ポストカードの画像が添付されていて、どうやらこちらにハガキを送ってくれるとのことでした。
このとき、一瞬戸惑ったのを覚えています。
「あなたが」ではなく、「あなたに」と変換することで、ようやく合点がいきました。
友人が間違っていたのは、助詞の使い方です。
多くの外国人が、日本語の助詞の使い方に苦労するようですね。
生まれながらの日本語話者であれば、助詞の間違いに気づくことができます。
しかし多くの人は、違和感を覚えただけでおしまいです。
文法的なところでの間違いを説明できる人は、そう多くないでしょう。
もっといえば、たとえ日本人であっても、助詞の使い方がカンペキな人のほうが稀なくらいです。
「間違いを見つけた」だけで終わってしまうのは、非常にもったいないです。
日本語に不慣れな人の表現は、日本語の在り方を見直す機会なのです。
書き手であれば、日常の会話にもアンテナを張っておきましょう。
正しくない日本語には、書き手としての「気づき」がたくさんあります。
ここに意識づけをすることで、似たような間違いを起こすことが少なくなります。
誤用を防ぎ、スキルアップにつなげるためには、とても有効な対策なのです。
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