「展開」と「付け足した設定」の違い

2019年6月10日

 

物語のボリュームが足りないと感じたとき、書き手が設定を付け足す場合があります。

付け足した設定によって、文字数やページ数を増やして、物語を完成させるという作業ですね。

 

とくにめずらしいことではありませんが、この作業を行う書き手は注意しなければなりません。

物語の「展開」と、書き手が「付け足した設定」は根本的に違っています。

 

 

まずは展開から考えてみましょう。

展開は、物語が動く必然性をもっています。

 

たとえば次の物語は、必然性をもった展開によって進行しているといえます。

 

● この国は、魔王によって支配されていた。

● 勇者が、魔王を退治するために旅をする。

● 魔王の刺客が現われ、行く手を阻む。

● くじけそうになるも、地道に鍛錬を重ねる

● さらに強くなった勇者は、ついに魔王を倒す。

 

 

必然性の多くは、葛藤や障害、登場人物の願望などによってもたらされます。

魅力的な物語には「大きな葛藤」がある

■  相応の「障害」を設定する

登場人物の「願望」から展開を考える

 

これらは、物語を駆動させたり、加速させたりする要因となります。

だからこそ、必然性をもって物語を展開することができるわけです。

 

 

それに対して、「付け足した設定」は構成上の必然性をもっていません。

これもまた、例をみながら考えましょう。

 

● この国は、魔王によって支配されている。

● 勇者が、魔王を退治するために旅をする。

● 魔王の刺客が現われ、行く手を阻む。

仲間を募る

● くじけそうになるも、地道に鍛錬を重ねる

● 強くなった勇者は、ついに魔王を倒すことができた。

 

「仲間を募る」は、非常にありふれている設定ではあるものの、決して悪い設定ではありません。

しかしこの段階で、「物語と密接な関係をもっていない」ことを書き手は自覚する必要があります。

 

かんたんにいえば、物語に馴染んでいないのです。

「付け足した設定」と「展開」の本質的な違いとは、ここにあります。

 

物語に馴染ませるためには、さらなる設定を考えなければなりません。

● 師となる人に出会い、そこで修行を重ねる。

● 修行場にいた兄弟子が、主人公の旅についてくることになる。

 

いわば、物語の世界を構築する上での「配慮」ですね。

安易に設定を付け足そうとすると、物語に対する配慮を欠いてしまいがちです。

物語の世界での整合性をとることが難しくなり、そこに歪みのようなものが生じるでしょう。

 

それが読み手に伝わらないよう、物語における「展開」と「付け足した設定」の違いを意識することが重要になるのです。

設定を付け足す場合は、作品全体をみながらマネージすることを心がけましょう。

 

■ 参考

創作

Posted by 赤鬼