【三人称の書き方】多元視点型
今回は、多元視点型についてご紹介します。
論者によって解釈は異なるものの、一般的にいわれている「神視点」とはこの多元視点型を指す場合が多いです。
「神の視点」ですから、どんなことでも書くことができるのです。
たとえば、完全客観型では登場人物の内的な部分を書くことができませんが、多元視点型ではそれが可能です。
さらには、「定点カメラ」のように視点を固定する必要もありません。
心情の描写も含めて、さまざまな登場人物の立場から物語を進めることができます。
「多元」と銘打つのはこの部分からきています。
これこそが多元視点型この特徴であり、もっとも大きなメリットでもあります。
複数の要素を重ねながら組み合わせることで、複雑なストーリーを構築できます。
しかし裏を返せば、これはデメリットにもなりうるのです。
「どんなことでも書くことができる」というのは、すべてが書き手の裁量に委ねられるということでもあります。
「自由に視点を変えられる」ということは、複数の登場人物を操るということです。
書くべき内容・情報の取捨選択をしたり、考え方や感じ方によって文体を変えることも必要になってきます。
どのように組み込むか、どのように作用するかについても、重層的に考えなければなりません。
多元視点型は、制約がありません。
自由を与えられた分だけ、書き手に対して大きな責任が伴います。
すべてを綿密に計算した上で、物語をマネージメントできる力をつけましょう。
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