【創作】物語に組み込む「意外性」について【読み手を裏切る】【意外性のレベル】
書き手は常に、物語がおもしろくなる要因を考えているはずです。
そのひとつに「意外性」が挙げられるでしょう。
今回は物語に組み込む意外性について、基本となる考え方をご紹介します。
創作で扱う「意外性」とは
「意外」というくらいですから、読み手にとって「思いがけなかったもの」や「予想がつかなかったもの」であるべきです。
手垢のついた方法ではありますが、「善人→実は悪人」もしくは「悪人→実は善人」といった展開が良い例ですね。
登場人物の印象を読み手に勘違いさせるように描いて、良きところで一気にひっくり返す。
そこでもたらされた意外性によって、物語をダイナミックに展開させることができます。
物語に「意外」を扱う以上、読み手を裏切ることになります。
この裏切りは、いわば「物語をおもしろくするため」の工夫であり、「読み手のため」を思ってこその工夫です。
したがって、これは良い裏切りといえるでしょう。
「悪い裏切り」に気をつける
一方で、物語に意外性を組み込むことによって悪い裏切りとなってしまう場合があります。
書き手が「意外性」に執着してしまい、物語の世界での整合性がとれていない状況です。
前項に挙げた「悪人→実は善人」で考えると、「善人になるきっかけが不明瞭だ」や「これまで働いた悪事をなかったことにしている」などですね。
この状況は物語にとってマイナスでしかありません。
悪い裏切りは、書き手が物語のルールに違反しているときに起こります。
書き手の都合によって物語の世界がねじ曲げられ、読み手に押し付けているのです。
そうならないよう、書き手は物語の基本的なルールから逸脱しないように注意すべきです。
意外性のレベルを考える
具体的に書き手が着目すべきは、意外性のレベルです。
意外性の強さを求めて「不自然だ」「不可能だ」「ありえない」といった着地点を設定してしまうと、物語のルールから外れてしまいます。
そうではなく「あってもおかしくない」に着地すれば、ほとんどの場合で問題は起きません。
ルールに違反することなく、読み手を驚かせることができるでしょう。
これを感覚でわかっていれば、意外性のレベルをコントロールすることができます。
軽めの意外性を作りたいのであれば、物語のルール内で「たしかにこれはありえるな」といったところを目標にすれば良い。
強く大きな意外性で読み手を驚愕させたいのであれば、ルールからぎりぎり外れない着地点を攻めて「考えにくいけれどあってもおかしくない」れば良い、となります。
もちろん、そこには読み手が納得できる論理がなければなりません。
登場人物の設定や物語の展開を、書き手の都合だけで動かすべきではないのです。
ご紹介したとおり、「悪い裏切り」は物語にとってマイナス要素です。
書き手はあくまで冷静な状態を保ったまま、読み手が楽しめる物語を創っていきましょう。
■ 参考
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