【登場人物の描き方】キャラクターを割り当てる感覚【書き手が配役する】【役者さんに演じてもらう】

 

今回は「登場人物の設定方法」について考えてみましょう。

人物の詳細をできるかぎり詰めていくることはもちろんですが、その前に覚えておくべきポイントがあります。

それがキャラクターを割り当てる感覚です。

この感覚をもちながら登場人物を描くことで、書き手はさまざまな恩恵を受けられます。

 

 

「劇団」をイメージする

書き手は、自分自身と作品を直結させて考えがちです。

決して悪いことではありませんが、注意すべきは書き手と主人公の距離が近づきすぎることです。

 

「作者=主人公」に注意

 

そこで書き手は「劇団を所有しているイメージ」をもってみましょう。

物語に登場する人物を、劇団の役者さんに演じてもらうのです。

 

もちろん、劇団員の設定を細かく考える必要はありません。

重要なのは概念としての「配役する対象」を作ることです。

次項で詳しく見ていきましょう。

 

 

キャラクターの造形に役立つ

「配役する対象」を概念としてもっていれば、キャラクターを作りやすくなります。

たとえば書き手が”特殊な思想”をもっていて、それを主人公に投影させるとしましょう。

すると書き手と登場人物との距離が近づきすぎてしまい、「書き手-作品」といった限られた関係性でしか内容を展開できなくなるのです。

 

そこで、概念上の劇団員に「特殊な思想をもつ役」を演じてもらいましょう。

この場合は、「書き手-役者-作品」の関係性で内容を考えられるようになります。

登場人物との距離を一定に保つことになり、書き手は常に冷静な状態で描くことができるわけです。

パーソナリティの設定はもちろん、登場人物の動きやセリフについても、バランスをとりながら向き合えるでしょう。

 

 

「他者」を描くときにも有効

特殊な思想を描くその作品に「主人公と対峙する思想をもつ人物」を登場させるとしましょう。

立場としては同じく「登場人物」ですから、もちろんこの場合も劇団員の役者さんに配役します。

 

すると、登場人物の設定を考えるときに生じる「偏り」が少なくなるのです。

 

主人公のライバルを描くとき、「力の入れ方」が偏ってしまうと敵対勢力として不足が生じます。

拮抗してこそのライバルであり、そこでのすり合わせがなければ物語の内容を深めることができないのです。

 

主要な登場人物でなくとも、同様のことがいえます。

たとえ脇役中の脇役であったとしても、その役には「物語に登場する理由」や「文章にする価値」があるはずです。

書き手の配役さえしっかりしていれば、他者となった登場人物はイキイキと躍動するでしょう。

 

登場人物が物語の世界で躍動すれば、結果として作品全体の質が向上します。

素となるのは、架空の劇団員にキャラクターを割り当て、役者さんに演じてもらう感覚です。

フラットな立場から登場人物を設定するには、とても効果的な考え方といえます。

まったくコストはかからないので、一度試してみてはいかがでしょうか。

 

■ 参考

創作

Posted by 赤鬼